諸君はこの青年を記憶しているだろうか?
そう、かつて仮面ライダー第1号として
ショッカーと戦った本郷猛だ。
彼は仮面ライダー第2号である一文字隼人に
日本の守りを任せて、
ショッカーのヨーロッパでの破壊活動と
戦っていたのである。
[第40話 桜島1号登場ナレーションより]
今回ご紹介するアイテムは
S.H.フィギュアーツ 真骨彫製法
「仮面ライダー1号 桜島バージョン」です。
商品名としては仮面ライダー1号 桜島ver.
ですが、昭和ライダーをこよなく愛する
おじさん世代の人達は皆「桜島1号」
と言う愛称で呼ばれています。
1970年生まれの私も勿論、少年時代を
昭和ライダーを観て育ち昭和ライダーを
こよなく愛するオッサンですから
昔から「桜島1号」で慣れ親しんだ一人
ですので、この先のレビュー内では
「桜島ver.」では無く
「桜島1号」と紹介させて頂きます。
桜島1号は1971年4月3日から放送スタート
した記念すべき仮面ライダーシリーズ
第1弾「仮面ライダー」の第40話、41話、
第51話、第52話に登場した
仮面ライダー1号の姿です。
仮面ライダー1号は、第1話から第13話まで
活躍した後、ショッカーの別計画を追って
日本を離れ、ヨーロッパでショッカーと
戦う事になります。
第14話からは1号に変わって2号ライダーが
ショッカーから日本を守ります。
そして第40話でショッカーの大幹部 死神博士
は全地球の火山を一斉に大噴火させる計画を
立て、その実験を日本の九州に決めます。
霧島と桜島の間にトンネルを掘り、
霧島火山帯を爆発させると言う実験です。
その情報をいち早く入手したヨーロッパで
活躍していた1号ライダー本郷猛からの
連絡で、2号ライダー一文字隼人は
九州へ向かい、本郷猛も日本に帰って来た
のであります。
この第40話こそが仮面ライダーシリーズ初
となる複数ライダーがテレビ画面で一緒に
活躍する「ダブルライダー」が
誕生したのです。
と、ここまでがストーリー上の
1号ライダー復活の経緯ですが
撮影現場での裏事情は当然全く違います。
1号ライダー本郷猛役の藤岡弘氏は
第9話、10話の撮影中にオートバイ事故
を起こし左足大腿部粉砕骨折と言う
大怪我を負います。
怪我の状態は当然深刻な物で当時の
最新技術によって手術は無事成功しますが、
藤岡氏の左足大腿部は左足骨髄に
金属パイプを通してその周りに粉砕した
骨片をワイヤーで巻きつけると言う
大手術を受けました。
藤岡氏が病院のベッドで「仮面ライダー」
第1話を観たと言うのは意外と有名な話。
撮影現場としては1クール13話までは何とか
過去の藤岡氏の映像や変身後の出番を
増やす、FBI捜査官 滝和也の投入等で何とか
凌ぎますが、14話以降の仮面ライダーを
どうするのかの話し合いが繰り返され、
結論として2号ライダーを登場させると
言う事になり、本郷猛はショッカーの別計画
を追って日本を離れた設定になりました。
その後、仮面ライダーはどんどん人気が
高くなり「仮面ライダー」は子供は
もとより、国民誰もが知る、まさしく
国民的ヒーローになっていきました。
そして1971年7月、藤岡氏は無事退院して
3ヶ月間のリハビリ生活を送っていました
が、藤岡氏自ら復帰を申し出たと言います。
しかし怪我はまだ完全に回復していなかった
為、40話と41話はゲスト出演と言う形で
藤岡氏を登場させ1972年1月1日の第40話
「死斗!怪人スノーマンと二人のライダー」
で初のダブルライダー編と言う形で
本郷猛を登場させる事になりました。
しかし撮影は壮絶だったらしく、藤岡氏の
左足にはまだ金属パイプと固定用ボルトが
入ったままでの撮影で傷口は絆創膏と包帯で
抑えた状態、撮影中は鉄パイプが足から
飛び出かかっていて
出血をしていたとか・・・
しかもそんな状態の中での復帰の撮影で
いきなりバイクシーンが有り、
現代のヒーロー撮影では考えられないような
モラル感だったようです。
撮影が終わり、東京へ戻った藤岡氏は
再入院してその後、無事に
鉄パイプが外されたそうです。
その壮絶だった藤岡氏の復帰した
40話、41話に登場した仮面ライダー1号が
通称「桜島1号」です。
何故このような呼び名になったかと
言いますと1号ライダーには撮影時期に
よって複数の外観上の変化があるのですが、
大別すると、4タイプ程に分類出来ます。
第1話から第13話までの「旧1号」、
そして第40、41話、51話、52話で登場した
今回紹介している「桜島1号」
第53話から第69話「新1号」前期タイプ
第70話から第98話まで活躍した「新1号」
後期タイプです。
この大別した4タイプはそれぞれ明らかに
特徴が異なっている為に他と
区別しやすいように今回の復帰1号を
九州桜島のロケ地で登場した事から、
桜島1号とファンの間で呼ばれるようになり
今では東映を始めメディア全てが桜島1号で
認知定着するようになっています。
特徴としてはデザイン的には旧1号と
変化はありませんがカラーリングが
旧1号よりも緑色が強めで最大の特徴は
旧1号のピンクの複眼が桜島1号では
赤色になっています。
ちなみに旧1号のスーツは第14話から
旧2号用として改修リペイントされた為、
桜島1号のスーツは新規造型された物です。
それでは真骨彫製法版
桜島1号を見て行きましょう。
発売に関してはこの桜島1号は少々
特殊でして2018年10月26日から10月28日に
実施された魂ネイション2018と言う
イベントで販売され、会場に来場した人
でないと買う事が出来ず、関西に住む私は
会場に行けなかったので、友人の友人に
買ってきてもらったんですよね。
友人の友人さん、どうもありがとう。
但し、後に魂ウェブ商店にて
限定抽選販売がされたので、
行けなかった人も欲しい人はよほど運が
悪すぎる人以外は購入出来たと思います。
価格は税込み6600円。
素体は過去に発売された真骨彫製法の
仮面ライダー新1号がベースと
なっていますが新1号と桜島1号とでは
当然特徴が違う訳なので今回の桜島1号では
外観パーツに関しては
殆どが新規造型されています。
ここで真骨彫製法の新1号と
比較してみましょう。
ベースは新1号なのでスタイルに関しては
殆ど差を感じない2体ですが
外観パーツが全然違います。
公式によると外観パーツでの共通パーツは
ベルトのバックル部分、手首、足先位
だそうで、こだわってますよね~、
さすが真骨彫製法です。
新1号とはブーツのチャックの位置、
頭のアンテナの形状、背中の羽のデザイン、
胸のコンバーターラング、マフラーや
ベルト形状も全然違います。
全身に入っているスーツのシワは新1号から
かなりリアルに複雑にモールドされていて
より一層の本物感が伝わってきます。
個人的にツボな点はアゴを上げると
スーツアクターの生首がおがめる点ですね。
造型に関しては個人的にほとんど
言う事は無いですね。
あえて言うと新1号の時もそうですが、
可動に難点があります。
特に股関節部分の可動がイマイチです。
あとは胸のコンバーターラングが巨大過ぎて
腕の可動にも制限があります。
最も気になる点としては塗装ですね。
真骨彫版「桜島1号」で一部の人から
受け入れられないと言われている点として
ヘルメットの色があります。
真骨彫版は真っ黒と思われるツヤ有り
ブラックで塗装されているのですが、
これに賛否があります。
当時のスーツ写真をちょっと
見てみましょう。
どうでしょうか。
写真からは黒に近い色なのは確かですが、
当時のTV映像を見返すと、
明らかに黒では無いです。
深緑が正しいですかね。
アップ用は確かにかなり濃い緑なので
印象としては黒に近いですが、真骨彫版の
真っ黒に塗られているのを見ると、
個人的にも多少違和感があります。
あとはブーツやグローブ等の緑部分も
ちょっと違うんですよね。
もう少し黄色身がかった印象です。
但しこの頃の撮影現場は痛みが出たスーツは
適当な調合色で補修されているので
人によって印象が変わるのは当然かも
しれませんね。
どれが正解でも無いとも言えるし、
「いやいや、黒いマスクだけは許せない」
と言う意見も正しいとも言えると思います。
私的にこの塗装の配色は許せるか
許せないかと言いますと、全然許せます。
正直、もう少し配色は
こだわってほしいとは思いますが。
と言うわけで、今回は貴重な
昭和仮面ライダーの真骨彫アイテム、
「仮面ライダー1号 桜島ver.」を
レビューさせて頂きました。
この桜島1号のアーツを最後に、
私の持っている昭和ライダーアーツが
最後になってしまいました。
2018年10月に発売した桜島1号ですので
現在2020年5月と言う事で、既に1年半も
新製品が発売されておりません。
プレバン商品は発表されてから発売まで
半年前後かかりますから
今新製品が発表されたとしても発売は
2020年末か2021年になりますから
2年以上、昭和ライダー真骨彫が
発売されない事はほぼ確実となります。
実に寂しい限りですよね。
昭和ライダーの真骨彫ってスーツパターンが
何パターンか存在したりするので
ファンによっては「コレは違う」とか
言われ易いんですが、そこはバンダイさんに
頑張って頂いて、そろそろ新製品、
頼みますよバンダイさん。
個人的にはV3、ストロンガー、BLACK辺りを
是非お願い致します。
それでは!!!